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絵本・児童書

鮫肌文殊 / 拝啓『拝啓パンクスノットデッドさま』様

2020/12/17 15:38

『拝啓パンクスノットデッドさま』石川宏千花・著

 

 

鮫肌文殊(さめはだ もんじゅ)
プロフィール:1965年兵庫県生まれ。放送作家。人気バラエティ番組を中心に活躍中。コラム執筆も多数ある。パンクバンド「捕虜収容所」のボーカリストとしても活動中。

 

放送作家をやり始めてもうウン十年になるのだが、その仕事内容は多種多様かつ雑多である。TV番組の企画はもとより放送台本やナレーションの書き仕事、最近は画面に出ているサイドテロップや新聞のラテ欄の文言まで考えたりしている。とにかく放送で使われる日本語全般を紡ぐのが我々「放送」作家のオシゴトなのだ。


2020年春からのコロナ禍、知人を介して依頼された仕事「青春パンク小説を読んで、パンク関連の記述に間違いが無いかを監修して欲しい」


実は私、本業とは別にパンクバンドをやっていて幾度か休止期間はあったものの高校時代に組んだメンバーとインディーズでしこしこと38年も続けている。そこら辺を見込んでの発注だったようだ。それにしてもパンクの考証ってなかなかに珍しい仕事だと思う。 色々やってきたなんでも屋の私的にも初めての経験であった。


児童文学ってジャンルには全く疎いのであるが「なんでガキ向けの小説(失礼!)にわざわざパンクを選ぶんだ?」と最初聞いた時に違和感を感じたのは事実。しかし今回、ゲラ段階の『拝啓パンクスノットデッドさま』 の原稿をチェックするうち、この物語が「パンクなくしては成立しない」のがビンビンに伝わってきた。


主人公である晴己と右哉、世間から見たら 完全に不幸のズンドコにいる兄弟の唯一の支えとしてのパンクロック。


ブルーハーツが「やさしいから好きなんだ」と歌ったようにパンクロックは世間からはみ 出したスカタンどもに対してとことん優しい。 爆音で横っ面を張り倒しながらぎゅっと抱きしめてくれる。


おそらく作者も、晴己と右哉と同じようにぐっちゃんぐっちゃんになった心をパンクロックに優しく抱きしめられた夜があったに違いない。だって行間から伝わってくるパンクへの愛情がハンパないもの。


ひとたびパンクロックにガツン! とやられると、自分の中に確かな物差しが出来る。今、目の前にあるものが「パンクか、そうでないか」というでっかい物差しだ。そして真っ正直にパンクである方を選んでしまう。当然、社会の常識っていうウスノロとの間に軋轢が生じ、こっちにごっつん、あっちにごっつん、そこら中で頭をぶつけまくり。生きづらいことと言ったらありゃしない。それがパンクロックを好きになるということなのだ。


まだ幼い晴己も右哉もすでにパンクロックにハマってしまっているのが、パンク関連のディティールとともに作中で事細かに描かれる。そんな2人がまた愛おしい。


物語はバンドものの青春ストーリーの王道であるデビューライヴのクライマックスに向かって途中から大きく動き出す。ここら辺のくだりは、一度でもバンドを組んだことのある人間ならアオハルな初期衝動を思い出して懐かしさに身悶えすること必至だ。


ネタバレになるので書けないがラストシーンはフィードバックノイズの轟音とともに読者の記憶に長く残る名場面である。


「クラッシュのポール・シムノンはシムノンと呼ばずパンクスは皆、ポール・シムノンとフルネームで呼びます」
そんな風なパンク考証なんていう楽しすぎる仕事でこの名作に関らわせてくれた作者の石川宏千花さんに感謝。
物語は終わらない。


続編を期待しております。

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