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くもん出版トップ > “創り手”のメッセージ > Vol.34「くいしんぼうず」の作者に聞く!

“創り手”のメッセージ

2007年4月2日

「くいしんぼうず」の作者に聞く!

創り手の観点から学びなおした「絵本」

次々現れるなぞの影。あっと驚く答え。影当ての楽しさが、子どもの心をつかんで離さない絵本『くいしんぼうず』。作者つきおかゆみこさんの、絵本にこめた思いを聞きました。

つきおかゆみこさん


『くいしんぼうず』

編集者との出会いが、出版のきっかけに

--『くいしんぼうず』は初めての絵本だそうですが、きっかけは何だったのでしょう?

つきおかさん:幼い頃から「しかけのある絵本」に興味がありました。絵の中のドアや窓が開けられるようになっていて、めくると他の絵が出てくるものがあるでしょう? そんな本を飽きずに眺めていましたね。それから美大の卒業制作で、江戸時代の<おもちゃ絵>にヒントを得た作品を仕上げたのですが、その経験がとても面白くて。物がない時代の中での豊かな発想力とおおらかな笑い……。この楽しさを現代にも伝えたいと思い、『くいしんぼうず』の原型のようなものを作りました。

 そして、私の愛読書『江戸児童図書への誘い』(アン・へリング著 現在品切れ)を出版していた、くもん出版に持っていきました。この本を出しているところなら、こういうものを面白いと感じてもらえるかもしれないと思って。その時対応してくださったのが、編集部の原健太郎さんでした。幸いなことに、私の「笑い」の感覚をよく理解してくださり、「おもしろい!」と。それが始まりでした。


本書の影絵をもとに描いた、子どもたちの作品。「魚」にも「傘」にも見える!(上)、「桜の木」「潜水艦」。限定された形から、子どもたちの発想が無限に広がる(下)。(協力:埼玉県幸手ひがし幼稚園)

流れる時間を行き来できる、絵本の魅力

--初めての絵本制作はいかがでしたか?

つきおかさん:馴れ親しんでいた絵本を「創り手」という観点から学びなおしたような気がします。例えば、今まで私にとって絵を描くというのは「1枚の絵・場面」を描く意識でしたが、独立した絵を集めても「絵本」にはならないのですね。

 絵本には始まりから終わりまで、物語の流れがあります。それを読者はページをめくることによって体感する。子どもたちがどんな風にページをめくるか、そのスピードはどのくらいか、図書館で子どもの様子を観察したこともあります。そのときに思ったのは、絵本は、文、絵といった単体で成立するものではなく、読者がページをめくる、その時間も含めて、絵本という1つの世界なのだ、ということです。


この絵本がより楽しくなるためにはどうしたらいいか。編集者のアドバイスを受けながら、試行錯誤。

 それに、子どもは大人が求める読み方を必ずしもしてくれません。「創り手」の立場としては、ちゃんと1ページ目から順番に見てほしいと思っても、特に赤ちゃんだと絵本をなめたり、かじったり。玩具と同じ感覚で遊ぶこともありますよね。けれども、決してそれが悪いわけではなくて、絵本を手に楽しそうに笑っている赤ちゃんを見ると、これも絵本の楽しみ方だと思いました。

 そこで、子どもたちが「絵本」をどう楽しみ、どう味わうのかもっと知りたくて、幼稚園で読み聞かせもしてみました。とてもよい経験になりましたね。

江戸庶民の遊びにふれるきっかけに

--読者のみなさんに、最後にひとこと!

著者プロフィール

1978年愛媛県生まれ。武蔵野美術大学造形学部デザイン学科卒業。イラストレーターとして活躍中。本書は、著者の初めての絵本。

つきおかさん:私の描いた絵本が、書店や図書館に並べられ、誰かの手で選び出され、読まれる……その不思議さ、嬉しさは夢のようです。

 この本をきっかけに、江戸の庶民が培ってきた、日常にあふれる豊かで自由な発想を、親子で楽しんでいただけたらいいな。


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