2007年3月20日
「中川なをみさん座談会」レポート

自身の決断が、その人の生き方を創る
人が人として生きることの意味を問い続ける作家、中川なをみさんの座談会が、大阪で開催されました。作者と読者である子どもたちとの出会いの場の模様をレポートします。

中川なをみさん。
人生の岐路に立つ子どもたちへのエール
風が冷たい……思わずコートの襟を立てて歩く2月のある日曜日。大阪・京橋で、作家中川なをみさんの座談会が行われました。集まったのは、小学校6年生から大学1年生までの本好きの子どもたち。作品について、作家という職業について、子どもたちからの質問を交えながらのお話が始まりました。

「ニジェールを舞台にしたのはなぜ?」「登場人物のモデルは?」作品を読んでの質問も。
--なぜ作家になろうと思ったのですか?
中川さん:作家になるつもりはなかったのです。ただ、子育て中“自分一人の時間がほしい”と思い、書き始めました。
○さんの奥さん、△ちゃんのお母さんという役割が大きくなるなかで“今、自分がここにいる”という実感がほしかった。それが文章を書くことでした。

作者と読者の出会いの場には“笑顔”がありました。
--作家になって良かったことは何ですか?
中川さん:出会えない人に出会えること。そして本気になれること、でしょうか。
私が、例えばここにあるコップを書いたとします。けれども、私は正面から見たコップしか書けていないかもしれない。それを『裏からはこう見えますよ』『上から見たら丸ですね』とアドバイスし、作品に向き合ってくれる編集者という存在があります。年齢も性別もなく、作品を通じて本気で付き合うことができる。これはこの仕事をしていなければありえないでしょうね。

池の修復に命をかける少年の一生を描く、創作歴史物語『水底の棺』。青年海外協力隊の女性が派遣先ニジェールで得たかけがえのない人生の物語『砂漠の国からフォフォー』。
最後に、中川さんは、
「どう生きるか。それは私にとっても大きなテーマですが、皆さんに伝えたいのはただ1つ。どんなときも“自分で選ぶ”ということです。自分で選ぶのは責任も伴いますが、その積み重ねがその人自身の人生を創り上げるのだと思います。皆さんの前には未来が無限に広がっています。がんばってください。」としめくくられました。
著者プロフィール
山梨県生まれ。日本児童文学者協会所属。作品に『四姉妹』(小峰書店)、『まあちゃんのコスモス』『あいつ』(新日本出版社)、『水底の棺』(第43回日本児童文学者協会協会賞受賞)『砂漠の国からフォフォー』(以上、くもん出版)などがある。
入学、卒業、就職…さまざまな人生の岐路に立とうとしている子どもたち。その子どもたちの可能性を心から信じている、中川さんのお話。冷たい風をはねのけるような強さが心を満たした一日でした。
日本公文教育研究会 京橋事務局にて
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