2006年11月1日
『子どもとよむ日本の昔ばなし ももたろう』
画家のメッセージ

昔話のイメージを膨らませる絵
「子どもとよむ日本の昔ばなし」シリーズ第2期が11月に刊行となります。画家が捉える昔話とは? 『ももたろう』の画家、小林豊さんに作品への思いを聞きました。
小林 豊さん

拡大
ももたろうとともに
大きくなった動物たち
日本の昔話の絵を描くことは、ぼくにとっては、初めてのことでした。一体どんな絵を描けばよいのか、まずは長野県に伝わる、土地の言葉で書かれた『ももたろう』の話を読むところから始まりました。そして岐阜県犬山市、岡山県、香川県の桃太郎伝説のある場所を訪ね、イメージをさらに深めていきました。
子どもは絵を見る時、主人公のまわりの環境を実によく見ていますね。絵を見ながら、読んでもらいながら、絵と文のなかを行ったり来たりして、情景をイメージし、お話を自己完結させる。ですから、いい加減な描きかたをすると、子どもはすぐにウソを見抜き、途端に絵本から離れてしまうのです。“絵本の絵”というものは、子どもの想像性を高めるための大事な素材です。
実はこの絵本では、今までの『ももたろう』にはない場の設定をしました。それは、サルとキジとイヌが、ももたろうが生まれた時から、登場している、ということ。
著者プロフィール
小林 豊
(こばやし ゆたか)
1947年、東京都生まれ。日本画家。中東・アジアをたびたび訪れた体験が作品制作のテーマになっている。絵本『せかいいちうつくしいぼくの村』で産経児童出版文化賞を受賞。ほかの絵本作品に『ぼくの村にサーカスがきた』『せかいいちうつくしい村へかえる』(以上ポプラ社)、『ぼくは弟とあるいた』『ぼくの家から海がみえた』(岩崎書店)などがある。
従来は、ももたろうが鬼が島へ行く時に突然現れて、きび団子ほしさについて行きますが、ももたろうの成長とともに大きくなった動物たちが、ももたろうと一緒に鬼退治に行く方が、ごく自然で子どもたちにとってもわかりやすいのではないかと思います。この部分が、ぼくが描いた『ももたろう』の大きな特徴なのです。
どうぞ「ももたろう」を読んでいただいて、どこにその動物たちが出現しているのか、お子さまと一緒に探してみてください。
バックナンバー
これまでの掲載記事を読むことができます。