2006年9月1日
「エヴァはおねえちゃんのいない国で」の訳者に聞く!

「いのちを考える」本に携わってきた思い
オランダ語の作品を中心に、数々の本を翻訳されてきた野坂悦子さん。「いのちを考える」本を、どう子どもたちへ届けるのか。言葉の力にたくした訳者の思いを野坂さんにお聞きしました。
翻訳家の野坂悦子さん

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「みんながエヴァを心配しているね」絵から友だちの思いを受け取る子どもたち。
子どもたちの読み取る力のすごさ
--このような本は、
読者への届け方が難しいのではないですか?
野坂さん:翻訳にあたって、私はできるかぎり子どもたちに読んでみるようにしています。『エヴァはおねえちゃんのいない国で』の読み聞かせをしてわかったのは、子どもたちは大人が考えるより、はるかに読み取る力、特に絵にこめられたものを受け取る力があるということです。
子どもたちはエヴァと自分自身の喪失体験とを重ね合わせ、みんな、それぞれの言葉で思いを語ってくれました。一冊の本から心が開いていくのを、目の当たりにした出来事でした。

「訳していると、だんだん読み手の顔が浮かんできます」と話す野坂さん。
言葉を悩みぬく翻訳作業
--野坂さんは翻訳の時、
特に気をつけていることはありますか?
野坂さん:例えば『レアの星』の画家は何度も小児病棟へ足を運び、絵の世界を深めていったそうです。
つまり、この本はフィクションでありながら、限りなくノンフィクションに近い作品なのです。病や死というテーマを扱う作品だけに、日本の医療の現実とも照らし合わせて訳を進めました。
翻訳は、何度も言葉を足して、ほどいて、つむぎ直すという作業のくり返し。今読み返してみると、私の個性よりもむしろ、文章がひとりでに立ち上がっている印象です。
また、耳から入ってすぐ映像になる言葉を組み立てていこうと心がけています。子どもたちに心地よい言葉かどうか、物語の世界に深く入っていけるかどうか、に尽きます。ただ、わかりやすさを優先すると、言葉が均質になってしまうことも。「この言葉しかない!」と思ったら、むずかしい用語でもあえて使うことがあります。

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レアの病気や死をどう言葉にするか、翻訳家は悩みます。
一人一人の読み方を尊重したい
--最後に、どのように「いのちを考える」本と
出会ってもらいたいですか?
野坂さん:大事なのは、押しつけではなく、子どもたちと一緒に本を読む時間を日常にすることです。大人がしっかり絵本と出会った上で、子どもたちのよい出会いを作っていただきたいと願っています。
著者プロフィール
野坂悦子
1959年東京都生まれ。英文学を専攻の後、オランダ語・フランス語に出会う。現在は翻訳家として、また「紙芝居文化の会」運営委員として活躍。訳書に『とくべつないちにち』(講談社)、『おじいちゃんわすれないよ』(金の星社)ほか多数。
私は皆が自由にとらえることができ、一人一人が考えを深められるような絵本を届けたいのです。絵も受け取り方の幅を広げます。大人はつい文字ばかり追ってしまいがちですが、絵本を読む時には、ぜひ文字だけでなく絵ともよくお話しして下さいね。
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