2005年3月1日
「半分のさつまいも」の作者に聞く!

戦争が二度と起きないように、祈りをこめて
家族を失った少女が強く生きる姿を描いた『半分のさつまいも』。この夏、アニメ映画として劇場公開されます。作者の海老名香葉子さんに、作品にこめた熱い思いを聞きました。
海老名香葉子さん

『半分のさつまいも』
海老名香葉子/千葉督太郎・画
続編をのぞむ読者の熱い声に、動かされる
--この本を書かれたきっかけは何だったのでしょう?
前作『うしろの正面だあれ』(金の星社)が刊行されて、全国の子どもたちから多くのはげましや感想をいただきました。「かよちゃん、よくがんばったね」「かよちゃん、元気?」と、私を主人公と同じ年頃の女の子だと思って、まるで友だちにあてたような手紙やはがきを送ってくださいます。そのときから、ずっとやりとりが続いている方もいるんですよ。

かよちゃんの必死に生きる姿が力強く描かれる。
映画化されてからは、さらに多くのおたよりをいただくようになりましたね。そのうち、段ボール箱いっぱいに届く手紙の中に、「かよちゃんは、その後どうやって生きたの?」「続きを知りたい」という声が多くなってきました。自分が書いてきたことが報われたと思うのと同時に、「書かなくては…」という使命感に似た思いにとらわれました。とはいうものの、なかなか進まずに、12年が経ってしまいました。けれどもようやく1997年に、続編『半分のさつまいも』を刊行することができました。
家族のあふれる愛が、私を生かしてくれた
--東京大空襲で家族6人を亡くされる、という辛い体験から物語はスタートしますね?
ええ。歯をくいしばって書きました。戦争というものを前面に押し出さず、辛いとか悲しいとかそういうことを極力抑えて書いたようなところがあります。今になってみると、もっと素直に書いてもよかったのかもしれません。

子どもの頃の思い出は宝物です。
あれから60年経つわけですが、よくもまあここまで生きてこられたものだ、と思います。でもね、くじけそうになるといつも「こんなことしたら、父ちゃんは悲しむ」「こんなことしたら、母ちゃんががっかりする」と、頭に浮かぶのです。だから悪いことはしない、そう思いました。またどんなに辛いことがあっても、私にはクスッと笑える宝物のような思い出がたくさんありました。こうした子ども時代の幸せな記憶が私を生かしてくれたのだと思います。両親や家族のあふれる愛を受けてきたおかげで、今があるのです。
先日、偶然母の書いたはがきが出てきました。当時私が通っていた書道教室をお休みすることを先生にお伝えするものでした。当時は電話なんてありませんから、はがきで連絡をしていたのでしょう。母の美しい字を読みながら、ああ親ってありがたいなあ、とこみあげるものがありました。いつも子どもや父の世話をして、いったいいつご飯を食べるのだろうと思うほど、働きものでやさしい母でした。私は母のようにやさしくなれませんでした。(笑)
戦争体験者の我々が伝えなければならない

長編アニメ映画「あした元気にな〜れ!」。主人公かよ子の声を上戸彩さん、語りを吉永小百合さん、主題歌を歌手の林明日香さんがつとめる。(C)「あした元気にな〜れ!」製作委員会
--読者のみなさんに、最後にひとこと!
これから、戦争体験者はどんどんいなくなります。戦争について読む子も少なくなっていることでしょう。だからこそ、体験者である我々は伝えていかなければならないのだと思います。残すことのできるものは残さなければ。そこから子どもたち、お母さんたちが戦争について、平和の大切さについて考えてもらえたらと思います。そして、二度と戦争が起きないことを心から願っています。
写真:水戸孝造
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