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絵本のたから箱

2009年11月2日

Vol.51『だいくのたこ8さん』

おもしろおしごとえほん『だいくのたこ8さん』の作者、内田麟太郎先生からのユーモアあふれるメッセージをお楽しみください。

文:内田麟太郎
絵:田中六大

作者のことば      内田麟太郎


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最初の依頼人は、かぶとむしのだんなでした

 絵を描いてくださった田中六大さんの、ひいひいひいひいおじいさんは、大工の六と呼ばれ、江戸では知らない者はいない名人大工だったそうです。

 そんなわけで、六大さんも「大六」の名を継ぐはずでしたが、お父さんの田中吾六さんが大の六大学野球ファンで、「田中大六ではいやだ! 田中六大学だ!」とわめきちらされて……、「田中六大」に落ち着かれたとか。

 「ということは、名人大工の血が流れているわけですね?」

 「……はあ、いくらかは」

  わたしの質問に、六大さんはうつむかれました。(いくらかは、か。しんぱいだなァ)

 『だいくのたこ8さん』の絵をお願いしていいのかどうか。首をかしげるわたしに、編集者のTさんがいわれました。

 「六大さんは“謙虚の六大”といわれています」

 「どれくらい謙虚なの?」

 「実力の千分の一しか語られません」

 千分の一! びっくりです。わたしなどは実力の百倍は自慢して歩いております。千倍といえば近所のどろんこ山も富士山の高さに。

著者プロフィール

文:内田麟太郎
(うちだりんたろう)

1941年福岡県大牟田市生まれ。詩集に『うみがわらっている』(銀の鈴社)、『きんじょのきんぎょ』(理論社)、絵本作品に『さかさまライオン』<絵本にっぽん賞>『がたごとがたごと』<日本絵本賞>(童心社)、『なきすぎてはいけない』(岩崎書店)、「おでんさむらい」シリーズ(くもん出版)ほか多数。

絵:田中六大
(たなかろくだい)

1980年東京都生まれ。多摩美術大学大学院修了。漫画家・イラストレーター。絵本は本書がはじめて。挿画に『ひらけ!なんきんまめ』(小峰書店)。

 「お、お願いします。え、絵を描いてください」

 わたしは、平服の六大さんの前に、平伏しておりました。(千倍はうそだったなァ)

 つぶやくわたしの顔は、それでもほころんでおります。(はっきりいって、四百二十三倍くらいだよ)

 田中六大さんにははじめての絵本です。とてもとても、はじめての絵本とは思えないのびやかさです。どうしてだろうと考え込んでいるわたしに、Tさんがいわれました。

 「大工の六さんのひいひいおじいさんは、あの大画家、狩野永徳だそうです」

 お化けが出そうです。


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