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2007年8月2日
Vol.30「安心感で満たされる絵本」

夏といえば、海、花火、かき氷、そして……お化け! 子どもたちにとってお化けは好きだけど、ちょっぴりこわい存在。「こわい」感情に潜む、子どもの成長についてお話します。
「ちきゅうはみんなのいえ」
「おおきくなりたいちびくまくん」
「〜英語で子守歌を〜 いい夢みてね!」
「こわい」という感情がもたらすもの

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絵本の根底を流れる「人と人とのつながり」「生きものへの愛情」「親子の絆」が読み手・聞き手の心に安心感を生みます。(「ちきゅうはみんなのいえ」より)
夜になって、ママが「さぁ、歯を磨いてらっしゃい」というと、6歳のなっちゃんは「一人ではイヤ!だってこわいもん」と口をとがらせます。
眠るときも「電気消しちゃダメ!」と、なっちゃんはいいます。「どうして?」とパパが聞くと、「だって暗いのこわいもん」。
詳しく話を聞いてみると、なっちゃんがこわがっている原因は、その日に学童保育で読んだお化けの本にありました。そのときは夢中で読んでいたのに、家に帰り、夜になると、話が思い出されて、急にこわくなってしまったようです。
こんな風に、子どもたちにとって、「こわい」という感情は、ふとしたところからあらわれてきます。何気なく聞いていると、ほほ笑ましい、どこの家庭でも1つや2つはありそうなエピソードですが、実は、この「こわい」という感情を持つということは、高度な知的作業の結果なのだ、ということをあらためて考えさせられます。
今の子どもたちは本を読まないと、よく言われますね。先日ある小学校で行われたアンケートに、「あなたはなぜ本を読まないのですか」というものがありました。その理由の第1位は、「めんどうくさいから」。「なぜめんどうくさいか」というと、「文章を読んでも、イメージできない」というのです。
ここで、6歳のなっちゃんの話に戻りますが、なっちゃんは本を読み、文字や絵によって得た情報を頭のなかでイメージ化し、さらにそれを膨らませ、実在をおそれるほどのリアルな想像をしている、ということになります。そこから、「こわい」という感情が生まれているわけです。つまりこれは、子どものなかで、想像する力が着実に育ってきていることの結果なのです。そして、何に対してこわいと思うかで、その子、その子の個性が現れてきます。ふと見上げた天井の模様が、何だか人の顔に見えるとか、風で窓や扉がガタガタいう音がまるで悪魔が吠えているようだとか。
お子さまの「こわい」という感情が、さまざまな面での人間的成長の一端を示すものとして、大事にしていただきたいと思います。
とはいえ、お子さまが「こわい」のは事実ですから、お子さまがなぜそれを「こわい」と思っているのかを、お父さま、お母さまが理解してあげることも必要です。そのうえで、お子さまとともに、その「こわい」ものに対峙し、こわがる必要がないということを納得させてあげることも大切です。
おすすめ絵本
「ちきゅうはみんなのいえ」リンダ・グレイザー/文 エリサ・クレヴェン/絵 加島葵/訳
「おおきくなりたいちびくまくん」デイビッド・ベッドフォード/文 ジェーン・チャップマン/絵 松波史子/訳
「〜英語で子守歌を〜 いい夢みてね!」ムムリク/絵
「こわさ」は理屈ではないので、すぐに克服できないかもしれませんが、時間をかけ、安心感を与えてあげたいですね。そんなとき、絵本の読み聞かせをしてみるのもよい方法だと思います。互いの体温を感じながら、心やすらぐ時間を過ごすことで、お父さまお母さまとの確かな絆と安心感が芽生え、お子さまの心が開放されるのではないでしょうか。
そして、お父さま、お母さまという絶対の存在があるからこそ、お子さまは安心して物語のなかで冒険ができる、「こわさ」を楽しむことができるのだ、ともいえるでしょう。
(くもん出版 編集部 山田陽子)
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