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2007年5月1日
Vol.27『わたしのおばあちゃん』

世界11カ国で翻訳! アルツハイマー病のおばあちゃんと孫の交流を描いた絵本が発売になりました。本書を読まれた、絵本作家、正岡慧子さんからメッセージが届きました。
文 ヴェロニク・ヴァン・デン・アベール
絵 クロード・K・デュボア
訳 野坂悦子
声を通してこそ伝わるぬくもり―
『わたしのおばあちゃん』を読んで 正岡慧子

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家族の名前がわからなくなってしまったおばあちゃん。
死や病を描いた絵本は、それほど多くはありません。この『わたしのおばあちゃん』はそのなかの貴重な一冊です。わたしはできるだけ大勢の方にこの絵本をご紹介したいと思いました。でも、このお話を正しく伝えるにはどうしたら……。
わたしは思いたって、東京カベナント教会付属幼稚園「小羊園」を訪問しました。そして、主任の綾子先生に、絵本を声に出して読んでいただきたいとお願いしました。そこへ日曜学校に通ってきている恵子ちゃんが遊びにきました。うれしいことに、恵子ちゃんも読んでくれるというのです。
国語が大好きという恵子ちゃんは小学校二年生。さすがです。ゆっくりと読む声は、主人公のマリーそのもの。それに、「わたしをうでにだいて、おばあちゃんは こもりうたも うたってくれた。『ねむれ、ねむれ、みんな おやすみ……』」なんと、恵子ちゃんは、子守歌の部分を歌ってくれたのです。そして、読みおわったあと、「妹にも読んであげたい」といってくれました。
次は綾子先生。目をとじて聞いているわたしの前に、もうひとりの主人公であるおばあちゃんが現れました。「いけのまえで パンくずを まくの。アヒルたちが、すぐに あつまってくる。『ほんとに かわいいね、アヒルは。』」まるで恵子ちゃんに語りかけるように、やさしい声が続きます。最後のほうで、先生は一瞬声をつまらせました。恵子ちゃんが心配そうに、そっとからだを寄せていきました。読み終えると、綾子先生は恵子ちゃんの小さな手をにぎったまま、おっしゃいました。「この絵本は、人生経験によって読み方も聞き方も変わるかもしれませんね。それにしても、子どもはかわいい」
プロフィール
正岡慧子
1941年広島県生まれ。絵本作家。日本児童文芸家協会理事、日本福祉学会会員、日本中医食養学会顧問。全国の子どもからお年寄りまでの「読み聞かせ、読みあい、読み語り」運動を推進。主な作品に『きつねのたなばたさま』(世界文化社)『ぼくのしごとはゆうびんや』『あなぐまのクリーニングやさん』(PHP研究所)他多数。
やはり、思ったとおりでした。この絵本にこめられたあたたかいメッセージは、声に乗せてこそ、読み手の心のひだから聞き手の心へと、より深くとどけられるのだと。
綾子先生、恵子ちゃん、ありがとうございました。心身を病んで生きる人の、長くきびしい人生の冬に、あたたかさを手わたす方法は何なのか。その答えがこめられたこの絵本を、わたしはだいじに読みつないでいきたいと思います。
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