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2006年1月5日

Vol.13『おでんさむらい』

お江戸にへんてこざむらい登場! お供はなんとカブトムシ! 今回は、作家の内田麟太郎さんに『おでんさむらい』誕生秘話を語っていただきます。

文:内田麟太郎
絵:西村繁男

こまっちゃう 内田麟太郎   


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へんてこざむらい、ひらた・おでんの出番です。

 面白い人がいて、面白いことをいった。

 「内田さんと西村繁男さんの、時代劇の絵本を見たいなあ」

 なるほど面白そうだった。

 「でも、飯野和好さんの『ねぎぼうずのあさたろう』(福音館書店)があるからねえ」

 首をかしげる私にその人はいった。

 「ぜんぜんちがうと思いますよ。まず絵柄がちがうし、お2人のはもっとほのぼのとしたものになりますよ」

 (ほのぼのねえ)

 私はその人の顔をしげしげと見た。

 「あなたは編集者に向いていますよ」

 「いやあ、おれは……」

 手打ちそば屋のオッチャンであるその人は、照れくさそうに笑った。そのそば屋には週に一度ほど行く。そのたびに西村さんの顔が浮かんできて、とうとう私は西村さんに電話をした。

 「ねえ、2人でチャンバラの絵本をつくらない?」

 「いいね、おもしろそうだね」

 西村さんはすぐに乗ってきてくれた。さて、どんなチャンバラを書くのか。西村さんのあったかい絵柄が浮かんでくる。

 (人は殺したくはないよなあ)

 これは西村さんも同じだろう。ほのぼの、ちゃぽん、ほのぼの、ちゃぽん。頭の中でなにかがゆれはじめる。

 「そうだ。西村さんは虫が好きで、『ピチクル ピチクル』(童心社)という虫の本もあるぞ。カブトムシを登場させたらどうだろう」

 われながらにこりとするグッド・アイデアだった。西村さんだって「これ、いいよね」と喜んでくださるだろう。2人で作る絵本だ。カブトムシくんに友情の架け橋になってもらいたい。

著者プロフィール

作家:内田麟太郎
福岡県生まれ。主な著書に『ともだちや』(偕成社)はじめ、『かたちのおしゃべり』『いろいろあってね』(くもん出版)などがある。

画家:西村繁男
高知県生まれ。主な著書に、内田氏との共著『がたごとがたごと』(童心社)をはじめ、『おふろやさん』(福音館書店)などがある。

 名脇役かぶへいの登場である。

 (主人公は、浪人のおでんざむらい)

 出来あがった絵本は、冬の物語なのに春の気配があった。どことなくとぼけてて、西村さんのお髭が浮かんでくる。あんまり威厳はないんだけど……。まるでヤギさんみたいで。

 某日。そば屋のオッチャンに絵本を届けたら、

 「カブトムシは、冬でもいるのかい?」

 といわれた。こまっちゃうよ。

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