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2005年5月2日

Vol.5『くまいちご』

子別れの厳しさとともに親子ぐまの愛情をあたたかな視点で描いた絵本『くまいちご』が、2005年5月末に刊行されます。作者木暮正夫さんに作品への思いを寄せていただきました。

作:木暮正夫
絵:梅田俊作

「野いちごのふしぎな名にみちびかれて」   木暮正夫


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 数年前からわが家のすぐ近くの農家の林に、タヌキが住みつくようになりました。れっきとした野性のタヌキがですよ。よほど山奥のことだろうって? いいえ、東京の郊外で、都心へも30分あれば行けるところです。親ダヌキは夏になると、日没後、春に生まれた子ダヌキたちを引きつれ、わが家の玄関先にも現れ、それはもう、ほほえましいといったらありません。ところが9月になるや、親が子を自分の生活圏から追いだしにかかり、一週間あまりは騒ぎが続きます。まだまだ親のそばで甘えていたい子どもたちを、むりやり追いだすのですから、親もせつないことでしょう。

 わたしはすでに孫たちを持つ年ですが、いのちをつないでいくことの大切さもむずかしさも、生きとし生けるものの永遠のテーマであることをタヌキの行動からあらためておしえられ、動物の「子別れ」をモチーフに、一作書きたいとの思いを胸のひきだしにしまっておきました。それからしばらくして、たまたま手にした自然の草花や昆虫のスケッチ画集をひらいていくと、北海道の野いちごの絵があって、『クマイチゴ』と書かれています。一見、ふつうの野いちごですが、「なぜクマイチゴなんて名づけられたのだろう」とふしぎに思い、心にとめておきました。そこで、札幌の友人に手紙で「クマイチゴの名のいわれを知っていたらおしえてほしい」とたのむと、「クマが子別れの際、子どもにたべさせるから」との返事。一気にイメージがわいてきました。

木暮正夫

1939年、群馬県生まれ。日本児童文学者協会理事長。主な作品に『また七ぎつね自転車にのる』(小峰書店)『ブータンの朝日に夢をのせて』(くもん出版)『救出 日本・トルコ友情のドラマ』(アリス館)などがある。

梅田俊作

1942年、京都府生まれ。主な作品に『おやつがほーいどっさりほい』(新日本出版社)『しらんぷり』(ポプラ社)『がまんだがまんだうんちっち』(岩崎書店)などがある。

 絵は、かねてより一度ごいっしょできたらと思っていた梅田俊作さんが快く引きうけてくださり、ご覧のとおり詩情あふれる、すばらしい原画を仕上げられ、さすがというほかありません。ラストページの母親の目にひかるなみだのひとつぶに、子を想う気持ちのすべてが集約されています。

 この絵本づくりでいちばん楽しかったのは、“打ち合わせ”という名目でうかがった梅田さんの日和佐町(徳島県海部郡)のアトリエ訪問。また出かけます。出版を記念してお祝いしましょう!

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