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2004年12月1日

Vol.1『ボサいぬくんのかゆーいいちにち』

原因不明のかゆみにおそわれるボサいぬくんの、ゆかいな絵本が発売されました。訳者は絵本作家きむらゆういちさん。初めての翻訳にまつわる思いを寄せていただきました。

ぶん:デイビッド・ベッドフォード
え:グウィネス・ウィリアムソン
やく:きむらゆういち

「ボクの英語コンプレックス」   きむらゆういち

 ボクは長い間、英語コンプレックスに悩まされてきた。


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思わず口ずさみたくなる、リズミカルな言葉!

 例えばある年、国際児童図書展に向かうため、ロンドンのホテルを出た時のこと。たまたま前にいるおばさんに「空港に行くのはこのバスでいいのか?」と聞いた。すると、偶然にも彼女も同じ所に行くという。イギリスの出版社の人だというのでボクは作者のほうだと答えた。しかしである。会話はそこで終わり。そこからない。そこから先はもう沈黙なのである。

 もし相手が日本人なら、自分の作品ぐらい紹介していたはずである。その時、「ああ、せめて日常会話くらい出来たらどんなにいいだろう」と腹の底から感じ、「日本に帰ったら絶対英会話を勉強するぞ」と心に決めるのである。しかし、そのたびに何度英会話に挑戦したことだろうか。英会話教室に通ったり、絵本仲間でグループを作って英会話を習いに行ったり、果ては個人授業までやってみたのだが……。すべて長続きせず、ついにボクは英語を話せるようになるという夢は、あきらめる決心をしたのである。

訳者プロフィール

東京生まれ。絵本・童話の創作、戯曲、コミックの原作など幅広い分野で活躍。著書は300冊以上にのぼり、「あかちゃんのあそびえほん」(偕成社)「あらしのよるに」(講談社)等数々のロングセラーシリーズがある。『ボサいぬくんのかゆーいいちにち』で翻訳に初挑戦。

 だから、そんなボクにこの翻訳の仕事が来た時には「え!?このボクが」と耳をうたがった。しかし翻訳でいちばん大事なのは日本語のほうだという。確かに日本の読者が読んだ時には、面白い日本語であることが大切なのだ。それならボクにも出来るかもしれない。いやそれだけではない。“訳・きむらゆういち”と表示されるなんて、まるでボクが英語に堪能のようなイメージがするではないか。

 英語コンプレックスだったボクはそんな単純な理由から、1も2もなくこの仕事を引き受け、創作以上に力を入れて仕上げてしまった。さて、ボクが初めて挑戦した翻訳絵本はどうだろうか? 答えは読者の皆さんの判断を待つばかりである。

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